ニュースリリース

【プレスリリース】愛媛大ら、松山市内小中学校等の太陽光発電量のリアルタイムモニタリングシステムを開発 ~小学校向け環境と気象教育用WEBサービスを公開実験~

国立大学法人 愛媛大学(学長:柳沢康信)、株式会社 愛媛CATV(社長:宮内隆)、株式会社 アイムービック(社長:森本健一郎)、及び株式会社 ハレックス(社長:越智正昭)の研究グループは、愛媛大学と松山市の連携に関する協定に基づき、松山市内の小中学校等に設置された太陽光発電装置の発電量、日射量、および気温を1分毎に遠隔計測し、これらのデータを子供たちの環境や気象の教育素材として提供するWEBページの開発を行って参りました。

1.背景・経緯
この公開実験は、総務省平成25年及び26年度「戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)地域ICT振興型研究開発」にて受託した研究開発課題「スマート環境センシング基盤の構築と地域デザインへの応用に関する研究開発」(代表:都築伸二(愛媛大学)。メンバー:森脇亮、山田芳郎(愛媛大学)。柴田裕輔(株式会社愛媛CATV)。森本健一郎、阿部幸雄(株式会社アイムービック)。越智正昭、須東博樹(株式会社ハレックス))の研究成果の一部として行われます。
この受託研究では、

●小中学校内に設置されている百葉箱内で収集した気象データと、太陽光発電量データとを、1分毎に伝送し、JGN-X(総務省所管ネットワーク)内のサーバで蓄積するシステムを構築すること
収集したデータは、学校の環境や気象教育に使えるコンテンツにしてリアルタイムに配信すること
●学校外からも同様にして環境データを収集すること
●これらの収集した気象情報と発電電力の時間的空間的分布との相関性を明らかにすることによって、太陽光パネルを気象センサ化すること
●蓄積したデータを用いて校区限定コンテンツや、松山平野共通サービスを開発することを目的としており、これらを開発しながら有用性を検証しているところです。

研究にあたり、松山市及び松山市教育委員会のご協力により、太陽光発電設備を有する市内の小中学校に、2014年1月から順次本研究設備を設置させて頂き、図1のようにしてデータを収集しています。今回の実験では、図1のうち、小学校の校舎屋上に設置された気温計、日射計、および太陽光パネルの発電量が、webページでリアルタイムで見えるようにしたシステムを公開致します。

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図1 開発中のスマート環境センシング基盤と天気予報サービスとの連携システム

また、1kmメッシュで1時間毎に予想される、天気、気温、降水確率、降水量、雲量といった情報も同じwebページで閲覧できるようにしてあるため、発電量との関係の理解を助ける効果が期待できます。図2に、A小学校の例を示します。図(a)は、発電量と天気の関係を示しており、曇の時は発電量が減少する様子が分かります。図(b)は、1kmメッシュでみた松山平野の気温分布を地図に重ねて描画したページです。平野内の最高気温は34度、最低は24度であり、随分場所によって異なる様子が分かります。

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(a) 発電量と天気の関係 (曇の時は発電量が減少します)

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(b)1kmメッシュでみた松山平野の気温分布(最高34度、最低24度)

2 小学校向け環境と気象教育用WEBページの例

 

2.目標・今後の方向性

松山平野は、瀬戸内の温暖で穏やかな気候に恵まれ、太陽光発電に適した土地柄です。たとえば、松山市殿も太陽光発電システムの導入に積極的に取り組んでおられ、公共施設の66施設、発電規模:計1149.2kW(平成25年度末現在)に達しています。

ただし、複数の太陽光発電システムを同時かつ稠密にモニタリングすることによって得られる膨大な情報を、いわゆるビックデータ的に処理することによって新しい価値を創造する取り組みは全国的に見てもこれまであまり行われてきませんでした。

松山市内で数km離れただけであるにも関わらず、自宅と職場の天気が異なっていたり、発電量が異なることを、何度となく経験しています。自宅に設置している太陽光の発電量モニタリング装置で収集しているデータを、みんなで提供しあうことにより、以下のような利用や課題解決が、今後行えるようになることが、この研究の目指すところです。

●太陽光パネルの日射量センサ、雲密度センサ化

●時々刻々変化する発電量や雲の動きを、地図に重ねて表示する(可視化)

●天気予報に、実際の気象を反映することによって、(数分後、十数分後といった)極近未来かつ、(校区単位程度の)ピンポイントの予報の高精度化や、多様なサービス化

●ヒートアイランド、局地風、ゲリラ豪雨といった都市型気象の生成メカニズムの解明と、その防災減災施策への検討

●創エネおよび築エネ型スマートハウスの推進、その共同体であるスマートエネルギーコミュニティの形成。気候風土に適合したエコハウスやエコビルディングの推進、都市計画においては、風の道や緑化の推進。

●自分の住む町や地域の気象を理解し(教育)、愛する気持ち(アイデンティティ)の育成

 

今回の公開実験で頂いた意見も参考にしながら、環境と気象教育用WEBサービスを改良し、実際に小学校で使って頂くことも検討しています。

 

本受託研究は20153月で終了するため、開発したサービスの継続性は現時点では不明ですが、その後も続けられるように検討しています。

 

3.報道問合せ先

●研究全般に関すること:愛媛大学工学部 都築伸二 (tsuzuki@ee.ehime-u.ac.jp)

  • その他事務全般的なこと:愛媛大学社会連携支援部社会連携企画チーム 柳井 佑介、790-8577 松山市文京町3番、T E L 089-927-8145F A X 089-927-8820Email renkei@stu.ehime-u.ac.jp

●共同研究企業への問い合わせ先

  • 株式会社愛媛CATV:メディアソリューション部 矢野 浩一 (k.yano@e-catv.ne.jp)
  • 株式会社アイムービック: 代表取締役 森本健一郎 (morimoto@eyemovic.com)
  • 株式会社ハレックス:第一事業部営業1課 須東 博樹(sutou@halex.co.jp

 

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